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但馬北部の自然を考える報告会・シカの環境問題<1/4>

      2015/02/20

先週14日(土)に、但馬北部の自然を考える報告会が行われました。ニホンジカから樹木や希少植物など自然植生をどう守るかという命題のもと、近年シカが北上し但馬で被害が急増している問題等について、研究者、地元の環境保護系NPO、住民グループ、猟師から現況報告が行われました。今日は70名位の方が聴講に来られていて、シカ被害の深刻さが分かりますね。

但馬北部の自然を考える会

基調講演は徳島県南部総合県民局 森一生氏から「剣山・三嶺山のシカ被害の状況と対策」、徳島県のニホンジカ捕獲の取り組みについてご講演頂きました。剣山は四国の自然林で代表的な場所で、平成13年からシカの被害対策を行っているそうです。最初は県南部の林業被害でしたが、平成15年くらいから標高の高い場所の自然林に被害が広がったとのこと。昔は標高1800mの山頂付近にニホンジカがいることがほとんどなかったのに、山小屋からの報告では、山頂付近の植物や木がなくなってきたということでした。特に希少種のキレンゲショウマがなくなってきたことは、この植物を見るための登山が多いだけに観光への影響も出てきているそうです。

シカ対策は主に徳島県の費用ではなく、国(環境省・林野庁・大学)などの事業となっているとのこと。今の生息密度は1平方キロで20数頭。30頭過ぎると深刻な被害になると言われているので、その一歩手前まできているそうです。

試験的に23箇所に防護策を張ってみたそうです。広い範囲の防護柵はとっても大変で、補修ばかり(補修の間はシカがツーツーになってしまい、効果が無い・・・)、小さい範囲の防護柵、例えば15分くらいで回れる範囲の防護柵なら、一人二人で修理できるのでこちらのほうが効果があるし、マンパワーのことを考えればこちらがオススメ。網の目は広めのほうがよくて、狭いとシカが引っかかって壊れてしまい、かえって修理回数がふえてしまうそうです。防護柵をすることで、3年後には植生が回復し、元どおりに戻っていたそうです。ちなみに、小さい範囲の防護柵は、冬は網を外し、春に仕掛け直すそうです(この作業、県職員と有志がやっていたそうです)

冬は50センチ以上の雪が積もる剣山なので、シカが冬は標高の低いところへ降りてくると予想して、GPSで徳島大学の調査を行ったが、ほとんど移動していなかったことが分かったそうです。そこで、密度の濃いところに、防護柵に入り口をつけたような囲いワナを作って捕獲を行っていたそうです。ピンと張ったワナよりも、だらりと張った、ゆるい感じのワナのほうが、シカがワナにかかるしワナも壊れないそうです。

捕獲は平成21年から23年度までの3年に渡って、標高の高いところで年間10数頭くらいおこなったとのこと。かかったものはオスが多かったそうです。順調に減ってきたのに、担当者の自分が異動で捕獲作業ができなくなった途端、増えてきたので、環境省にお願いして捕獲してもらう予定にしているそうです。地道に捕獲続けるほうが、少ない捕獲頭数で全体の頭数を少なくすることができるそうなのですが、継続ということは行政が一番不得意とするところですね、と苦笑いされていました。

ちなみに、カモシカさんはシカに追い出されて少なくなっているらしいです。恐るべし、ニホンジカ!
次の講演は明日に。香美町の猛烈なシカ被害の実態が明らかに!

(2/19追伸)
NPOコウノトリ市民研究所の菅村さまより、以下ご指摘を頂きました。「網の目ですが、広いとシカがツノを引っ掛けて壊したり、死んだりしたりするので、目の細かいものを二重にしていると聞いたように思うのですが、これは囲い罠の方だったでしょうか? 自信はありませんが、お伝えしておきます。」ということです。内容について正確なところをお知りになりたい方は、但馬県民局環境課までお問い合わせ下さい。

 

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今井 ひろこ

今井 ひろこ

1968年生まれ。大阪府出身。住友精化(株)研究所に17年勤務。在職中に但馬の環境教育を支援するNPOを設立。自然豊かな暮らしに憧れ、日本海に面する兵庫県最北の町・香美町へ移住。2010年より観光まちづくりに関わり、地域資源を活かしきれていない事業者に出会う。2014年9月にコムサポートオフィスを設立。年30回の講演や110回のコンサルティングを実施。事業者のやる気を引き出し、売上につなげるアドバイスをしている。

 - 環境・教育

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