但馬北部の自然を考える報告会・シカが食文化を奪う?<3/4>
2015/02/20
先週14日(土)に行われた「但馬北部の自然を考える報告会」、昨日からの報告の続きです。「自然植生の被害とシカ忌避植物の繁茂」として、NPOコウノトリ市民研究所の菅村定昌氏から報告がありました。
菅村氏によると、トチノミはアクが強く、昔は落ちていてもシカは食べなかったが、今は食べるようになったそうで、神鍋の奥ではトチノミが拾えなくなったそう。同様に昔は食べることがなかったコゴミもシカは食べるようになったので、山菜もとれなくなってきているそうです。大屋川では、今までは食べられてなかった苦いヤナギタデ、エゴマもシカに食べられて無くなっているそうで、河川敷だけでなく、海岸でも同様の被害があって、地面がむき出しの状態になっているそうです。
モミジカラマツやコキンバイなど但馬にしか生えていないものが次々とシカによって絶滅危惧種になっているそうで、毒があるものも最初は食べられていなかったが、シカが増えるとどんどん食べられていきます。シカの食害が引き起こすものは、生物多様性の危機だけでなく、山菜採りやトチノミから栃餅を作る食文化も危機にさらされています。
森にはシカが嫌う忌避植物、例えば、マツカゼソウやアセビ、ミツマタ、シャガ、イグサなどシカが食べないものが一面に生えているので、そういう場所ほどシカ被害を疑わないといけないそうです。臭い匂いがする植物や猛毒のトリカブトなども増えるそうです。絶滅危惧種を保護するためには、保護柵などをして、地面から絶滅危惧種の種が芽吹くようにする、あるいは種をとってシードバンクなどの形で預かってもらうなどの対策が必要だそうです。「被害の激しいところは再生を、被害を少ないところは保全を。」このままだったら、但馬の自然が守られないという危機的状況を写真と共にお聞きしました。
明日は最終回、アメリカで活動され、日本に戻ってシカ駆除専門員(豊岡市鳥獣対策員)をされているマタギの岡居さんの報告から。
但馬北部の自然を考える報告会・シカの環境問題< 1 | 2 | 3 | 4 >
今井 ひろこ
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