じゃらんの目指す「旅する若者づくり」とは(JRC観光振興セミナーより)
8月6日に行ってきたじゃらんリサーチセンター(JRC)主催の観光振興セミナーでは、じゃらんは若者層にターゲットをあてて「旅する若者」を増やす!と仰っていました。実は国内観光旅行の市場は過半数がシニアで、売り上げをすぐに伸ばしたいのであればシニアを狙えばいいのですが、将来的な需要を考えて、国内旅行需要創出のカギを若者層としたとのこと。
その理由として、人口減少もさることながら旅行人口まで減少していることだそうで、大学時代に旅行を経験しなかった方は、将来の旅行意向も低いという結果が。とはいえ、学生時代に旅行したところは、大人になってからリピートする傾向にあるとか。
若者層を知るために「ワカモノ(18歳ー22歳)調査(インターネット調査)」を行った結果では、
*スマホ所有率8割を超え、SNSはその9割が利用(Line,Twitter、Facebookの順)。日常生活での友達は9人程度(同性の友達が多い)だけど、SNS友達は50人以上。
*趣味やレジャーに使えるお金は1か月に1万円未満。そのため、日常よく行く場所はコンビニ、スーパー、モール、カラオケの順。レジャーといえばショッピングにカラオケ、レストランでの外食や映画などの「街遊び」が中心で、スポーツもお金のかからないジョギングやウォーキング、マラソンの人気が高い。アウトドアも同様にお金のかからないBBQに人気が集中。都市部を中心に、車を持つ人が少ない。
*新しいことに挑戦したり、好奇心が強い。そして、SNSを利用した同年代との横のネットワークが他の世代よりずば抜けている。お金は無いが時間はある。
そのために、じゃらんでは旅に出る若者を増やす事業を全国で展開。とにかく実体験のハードルを下げて、体験したことを友達などに発信してもらい、そして友達も誘ってリピート化を図っています。LineやTwitterは文字数が制限されているので、その事業は「強くてシンプル」なメッセージを「クチコミに乗せることができるよう、3秒で説明できる内容」にしたそうです。
「雪マジ!19」というスキー場リフトが19歳だけ無料になる場合、ターゲットは19歳として、19歳の人が自分事と思ってもらえるようにしています。そして情報過剰社会でも埋もれないメッセージとして「何回リフトに乗っても無料!」にしたそうです。満員のリフトも空のリフトも動かしているときには固定費がほとんど変わらないので、リフト代を無料にする代わりに、滞在時間を伸ばす方法でスキー場でのコーヒー代や周辺の茶店、お風呂屋さん、土産物屋、レンタル器材代など、周辺にお金を落とす仕組みにしています。この事業を手始めに、ビール(ビアマジ!21)、Jリーグ観戦(Jマジ!20)、ゴルフ(ゴルマジ!20)なども同様の方法で展開を図っていて、次は温泉をターゲットにした事業を考えているそう。若者を呼ぶには、温泉とともに周辺を仲間とワイワイ楽しめるような温泉地が理想なのだそうです。
私の住む香美町でも「雪マジ!19」を取り入れたスキー場があり、お客さんは増えたそうです。もちろん、ただこの事業をするだけでなく、その他いろんなイベントを織り交ぜながら、経営者側の努力あっての増加です。温泉での若者旅行需要創出事業、残念ながら香美町の宿では周辺を歩いてワイワイ散策するようなところが少ないため、この事業には合わないと思います。私が今まで行った温泉の中で、この若者の温泉感、そして「時間持ち(金持ちじゃなくて)」に合う温泉地は一つ一つのホテルや旅館が大きく、いろんなお風呂が愉しめる箱根湯本温泉、別府温泉といったところでしょうね。じゃらんの温泉×若者事業にも注目です。
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今井 ひろこ
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