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地方で外国人観光客(インバウンド)受け入れが進まない理由(2)

   

外国人観光客の受入整備を進めるための講演会を聞いて、地元で外国人観光客の受入整備が進まない理由が見えてきたので、昨日からその理由を書いています。昨日は3つ書きました。今日は残りの2つについてお話します。

(4)役場のお墨付きが欲しい

なんだか大変そうやし、お金がかかりそう。宿の看板も英語にせなあかんし、外国語マップは要るし、駅に外国語の話せるガイドも置いた方がええ、となると、役場がその辺やってくれんと困るがな、という民宿の主人さんの声も聞かれました。一軒だけで受入準備をしても他も何軒か一緒にしないと結局しんどいだけ。それやったら、旗振り役を役場がやってくれないと、というのが「役場のお墨付きが欲しい」ということです。実は「お墨付き」ではなく、民間サイドから自治体へ環境整備を働きかける必要がありそうです。その一例が、町HP<観光セクション>の英語化、及び町内にある3つの観光協会の各HPの英語化です。もし、足並み揃わず出来ないようであれば、外国人観光客専用の観光HPを民間で動いて制作し、訪日外国人の利便性を上げたいです。

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香美町のジオパーク英語マップ(2012年)
(町HPからはダウンロードできない)

余談ですが、英語マップはジオパークの日本語マップを町内の2つの高校の生徒と外国語担当教諭の合作で、2012年に私もコーディネーターの一人で作りましたが、町内の観光業者(宿泊施設)にはほとんど知られていなかったようでした。どこからもダウンロードできないので、せっかく外国から来ても、iPadなどでこのマップをいつでも見ることができないと、マップの意味をなさないものになりかねません。あと一歩です、惜しいですね。

(5)食べ物が難しいと思っている(ハラールなど)

外国人の中には宗教上の理由で食事制限がある方が少なくないです。代表的なものはイスラム教で豚が食べられないこと。イスラム教で食べるメニューをハラールと言いますが、実は和食の殆どはハラールそのもの。魚食料理に慣れている日本人だと大丈夫です。

松葉がにのカニすき鍋の写真
これなら大丈夫!

イスラム教以外にも、根菜と野菜以外が全くダメという宗教もありますので、講師の先生は予約されたお客様に対して事前に食べることができる食材リストを送るようにメールで伝えているそうです。

地方で外国人観光客の受け入れがどうして必要なのか?

大まかですが昨日と合わせて5つ挙げてみました。うちの宿も含め、但馬の民宿で外国人の受入整備を進めたい理由は、「宿の造り」にあります。民宿の造りは、基本的に木造2階建て。1階が大広間で食事処とお風呂、2階に客室という構造です。フロアをつなぐのは階段。それも昭和レトロな急な階段です。今の宿泊の多くがシニア世代。年金も貯蓄もそこそこある、アクティブシニア層が国内旅行客で需要が高いのですが、足腰が弱くなってきています。2階までの階段を上がることすら大変なお客様が増えてきて、私の主人の宿も1階の一部を客室に利用しているほどです。それでなくても人口は減っていますから、ますます国内需要は減ってきます。そこで、新たな顧客としての希望の星が、外国人観光客なのです。

受入整備の中には、外国人に「見に来たい!」と思わせるシンボルスポットも必要です。自分たちの観光地の中、ジオパークの中にそういうものが無いか、外国人と一緒に調査をして、英語でSNSやWEBで発信する必要があると思いました。日本人が見て良い、面白いと感じる場所と、外国人がそう感じる場所は異なります。自分の地域でそれがどこなのかは実際に受け入れてみないと見つけられません。これから外国人観光客の受け入れ準備をどう進めていくか、ソフトランディングできるように、頑張っていきたいと思います。

 

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今井 ひろこ

今井 ひろこ

1968年生まれ。大阪府出身。住友精化(株)研究所に17年勤務。在職中に但馬の環境教育を支援するNPOを設立。自然豊かな暮らしに憧れ、日本海に面する兵庫県最北の町・香美町へ移住。2010年より観光まちづくりに関わり、地域資源を活かしきれていない事業者に出会う。2014年9月にコムサポートオフィスを設立。年30回の講演や110回のコンサルティングを実施。事業者のやる気を引き出し、売上につなげるアドバイスをしている。

 - 外国人観光客(インバウンド), 山陰海岸ジオパーク

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